「家畜福祉と農業者福祉」オンライン講演会
家畜動物の厳しい環境と農家の抱える課題の中で、2022年1月24日に「家畜福祉と農業者福祉」をテーマにオンライン講演会を開催し、農研機構畜産研究部門の加藤博美氏を講師に迎え、家畜の動物福祉と農業者福祉を詳しく紹介・解説していただきました。 最後に質疑応答が行われ、参加者とのディスカッションが行われました。
農家が抱えるジレンマ
農家の減少や農業従事者の高齢化により、農家が直面する問題やプレッシャーは増大しています。
近年の輸送技術の向上により、海外からの輸入品は国産品より品質が良く、安価であることが多い。その結果、国産品が価格競争に巻き込まれ、想定していた価格で販売できないことがある。
農業を取り巻く環境は、ますます厳しくなっています。
このような厳しい環境にありながら、農家の労働条件や収入は決して理想的なものではありません。朝早くから夜遅くまで働いていると、月収はそれほど多くないかもしれません。もちろん、自営業で毎年多くの収入を得ている農家もありますが、それはごく一部です。
こうした劣悪な環境の結果、農業に従事する若者が減り、高齢化も進んでいます。
農業者福祉はどうなっているのか? なぜ、農業者福祉を大切にしなければならないのか?
農業者福祉とは、「身体的、精神的、社会的に満たされた状態」である。
“肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること”
持続的農業とは?“人間、家畜、環境、社会的環境が健康であり、健全であること”
健康な牛からおいしい牛乳、健康な牛は、健康な農業従事者から。
農業はなぜ必要か?“農業を守ることは、自身の心身の健康を守ること。持続的な社会構築に必要なこと”
農業・農村の社会的貢献(多面的機能)・食料生産・災害防止(洪水・土砂崩れ)・気候の安定(暑熱の緩和)・水(地下水)や空気などの環境保全(かん養)・生物保護・景観の保全・文化の伝承・癒し安らぎ効果(医療的効果)・教育的機能・就労場所の提供・エネルギー生産(バイオマス等)農業者福祉に携わる研究者の方々と議論する中で、日本の農業者福祉には解決しなければならない多くの障害や問題があることを知りました。また、一般の方々の理解も大いに必要です。
最も重要なことは、世界は一つであり、農業者福祉に焦点を当てることで、農家が家畜を大切に扱うための力と幅が増えることです。一方で、私たちが口にする食品の質を向上させ、より健康的な未来に向けた取り組みを続けていくことにもなります。
講演会: