「動物福祉と外来種問題」オンライン講演会
生物多様性保全及び人間社会にとっての大きな脅威となっており、喫緊の課題として各地で対策が進められています。対象が生物であるために、ここでも動物福祉への配慮が不可欠となっていますが、残念ながらこの問題については社会一般への理解は深まってはおらず、対策の是非だけに感情的な議論が集中する傾向があります。外来種問題の中で動物福祉を考える。2022年2月15日、北海道大学教授の池田透氏をお招きし、外来種と動物福祉に関する知識を詳しく紹介・解説していただき、最後に参加者との質疑応答で交流するオンライン講座を開催しました。
外来種とは何ですか?危険性とは
外来種とは、もともとその地域にいなかったのに、人為的に他の地域から入ってきた生物のこと。アレロパシーが強い植物など、その一部は生態系や経済に重大な影響を与えることがあり、環境問題のひとつとして扱われます。類義語に移入種、帰化種、侵入種、外来生物があります。
外来種は、在来の野生生物の減少や絶滅、在来の植生に変化をもたらす可能性がある。外来種が元々生息していた動植物を食べたり、破壊したりすることで、地域の生態系が乱れることがあります。同じような食物や生息地を持つ在来生物を奪い、駆逐する。さらに、外来種が在来種と交配して雑種を作れば、遺伝子の干渉が起こる可能性もある。また、特定の野生動物に関する多くの調査にも大きな影響を与える可能性があります。
生態系だけでなく、外来種は人間社会にも大きな悪影響を及ぼす可能性があります。特に農業では、多くの外来種が農業に非常に大きな損失を与えています。
外来種の動物福祉
侵略的外来種は、生物多様性の保全と人間社会にとって大きな脅威であり、多くの地域でその外来種に向けた緊急対策がとられています。しかし、対象が生物である以上、ここでは動物福祉への配慮も重要です。
しかし、残念ながら一般の方々の理解は深くなく、施策の是非ばかりが注目される感情的な議論になりがちです。
例えば、多くの外来種は人間活動の結果、新しい土地で発展し続け、やがて悪い影響を及ぼすと想定されることが非常に多いのです。動物自体に罪はなく、動物に対する撲滅活動は間違っており、不当である。動物に罪はない、もっといい方法で済ませたい、と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。確かに、この考え方は理解できる。
しかし、現実は厳しい。外来種は一度地域に根付くと、その発展を予測し、制御することが困難です。そもそも外来種が発見されたときには、もう手遅れかもしれないのです。つまり、根絶やコントロールすることが困難な場合がよくあるのです。それをコントロールしないと、取り返しのつかないことになりかねません。
外来種を元の生息地に戻すとか、養殖するとか、そういうことが提案されていました。しかし、残念ながら金銭的な負担が大きく、手が出せないことも少なくありません。
動物は人間の生活とかなり関係しています。そして、動物福祉への配慮は、人間自身への配慮でもあるのです。家畜から野生動物まで、動物を保護し、その福祉に配慮することが求められています。
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